日本文化を通した働き方改革をテーマに研修を実施
富士通株式会社の営業部門の皆様に「日本文化から考える働き方改革」をテーマに伝統文化の研修を実施させていただきました。
テーマは「働き方改革」ということで、伝統文化と働き方改革は、一見関連が薄いようですが、富士通様が公開している働き方改革の実践事例を紹介するYoutubeに素晴らしいメッセージがありました。
働き方を変えることは
自分の生き方を決めること出典:「富士通社員が自らデザインして実行する働き方改革」Youtube抜粋
https://www.youtube.com/watch?v=DByO8QnkXTo
単に時短で効率的にワークするだけではなく、自分の生き方を決めることが真の働き方改革になるんだという力強いメッセージで、今回の研修が少しでもその一助になれば幸いです。
自国の文化である日本文化に対する知見を通じて、グローバルリーダーに求められる素養を養い、人間力を高める。
あるいは、業務から離れたところでの知識や教養を得ることによって、イノベーションの源泉とする。
こういったことに繋がるよう、日本文化のエッセンスを現代の価値感から捉え直す、更には相乗効果による新しい価値創出に繋がるよう取り組んでいきます。
まずは、研修の冒頭で、海外から見た日本の魅力を示すファクトデータを示し、日本文化が持つ魅力・潜在的なポテンシャルを再認識していただきました。
また、研修に参加する皆様はお互い初対面の方もいらっしゃるということで、アイスブレイクも兼ねて、各自の日本文化体験をお互いにシェアしました。
皆さん意外にも身の回りで触れる機会はあるようで、お互いの体験談を話されていて、思いのほか盛り上がりました。
「茶道と武将」を切り口にイノベーションのヒントを探る
ここからは、研修の本題に突入していきます。
今回取り上げる伝統文化は「茶道」ということで、お茶の伝来から近世までのお茶の歴史をスーパーダイジェストでご紹介しました。
お茶に限らず、外来の文化を咀嚼し新たな価値を吹きこんで日本化していくというプロセスこそが、実は日本文化のエッセンスなのではないか、様々な文化に共通するか歴史の変遷を知ると感じる部分です。
個々を知るにとどまらず、通底する水脈の源泉を掴むことができれば、現代のイノベーションにも活用できる古くて新しい視点、日本ならではの強みを発揮することにも繋がるのではないでしょうか。
ここから更に「茶道と武将」というテーマで、当時お茶に関わった戦国武将がどのような「価値観変革行動」をしたのか、当時の武将茶人にフォーカスし、彼らの業績を現代の価値感から捉え直していきます。
今回は、特に文化的な改革を果たしたという観点で、織田信長に注目し、現代におけるマーケティング的な価値転換の文脈など、歴史に置ける業績を取り上げました。
座学パートの後半は、上田宗箇流家元正教授の上田宗章先生より、上田宗箇流の歴史から茶道における心構えなどの基本的な内容を教えていただきました。
先生は、広島において学生向けにお茶を教える経験も豊富にお持ちで、そういった観点からもお茶に対する基本的な姿勢など、様々なエピソードを交えてわかりやすくお話くださいました。
茶道上田宗箇流によるワークショップ
続いて、単なる知識のインプットだけでなく、体感を通した気付きを得ていただけるように、実際にお菓子を召し上がりながらお茶もご自分で点てていただくワークショップに移ります。
今回の研修が、夕方から夜にかけての時間帯ということもあり、会議室ではありますが、夜咄のしつらえです。
こういったお道具も、上田宗箇流の本拠である広島から、先生にはご持参のうえ準備をいただいております。
お菓子も広島市内の「旬月神楽」さんからのお取り寄せです。
ワークショップの趣向として、まずはじめに和菓子の銘当てクイズを実施しました。
お菓子の銘といっても、季節の自然やシンボリックなものをモチーフにしたわかりやすいものから、若干の知識が問われるもの、作者の趣向が入ったものまであるので、当てるのはなかなか難しいのですが、スマホでの検索ありでみなさんに参加型で楽しまれていました。
お菓子を召し上がっていただいたあとは、お抹茶をご自身で点てて飲んでいただきます。
今回参加の皆さんは、お茶経験者はほぼゼロということで、茶筅にさわるのも初めてで、思いの外苦戦をされていたようです。ちなみに、上田宗箇流では表面が泡でおおわれる程度に泡立てます。
ご自身が点てたお茶と先生が点てたお茶の飲み比べも、違いを感じる体感のひとつです。
ワークショップのひとつひとつは、簡単化したものではありましたが、五感で感じることで、参加者の皆様には今回の研修内容がより記憶に残る形になったのではないでしょうか。
例えば、海外のお客様に日本文化のことをお話しする機会に、聞きかじっただけの知識と、少しでも体感を通じて得た知識とでは、お話できる内容が変わってくると思います。
終了後のアンケートでは、「仕事を離れて新しいことに触れる機会を持つことができて良かった」といった声や「他のテーマでも是非開催して欲しい」といった前向きなコメントをいただきました。
上田宗箇流家元正教授。広島市内の幼稚園や小中高の学校向けの講師、茶道部の指導などを長く務める。お点前だけでなく、学んで体験することを大切さも日々伝える。「お茶は楽しくなくっちゃね」がモットー。