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能舞台いっぱいの能装束!

能舞台いっぱいの能装束!

全部、本物!新しいもの、古いものすべて能装束!
9/30(月)、宝生流シテ方の佐野登先生のご協力で「能装束を拝見しよう!」を開催しました。今回のワークショップのために、たくさんの衣装を持ち込んでいただき、気づけば能舞台いっぱいに!とにかく本物を見て欲しいとの佐野先生の心意気が伝わってきました。

まずは、能の演目「羽衣」とその衣装のお話を伺いました。「羽衣」と聞いて何を思い浮かべますか?シーチキン?残念、そちらは「はごろもフーズ」さん。「天女の羽衣」を思い浮かべていただきたい!私は白いオーガンジーのショールを思い浮かべました。ただし、能では必ずしもイメージと同じ色を使わない事もあるそうです。若い女性には朱色など、ある程度の決まりもあり 、天女の衣装に朱色を使う場合もあるそうですよ。
少しでも能装束に興味を持った方はSONYのドキュメンタリー動画を見てください!佐野先生が三保の松原の月明りで羽衣を舞う姿が拝見できます。神秘的でドキドキする映像です。
また、令和元年10月12日(土)「三保羽衣薪能」で実際に楽しむ事もできます 。
さて、羽衣をイメージしたところで、みんなで「謡(うたい)」のレッスン!声を出すと元気も出てきます。

せっかくなので体も動かしましょう!「仕舞(しまい)」も体験。刀を下ろす姿、 悲しい姿など体験してみました。ポイント的に型を整えていただいても、力が入っていたり、滑稽な感じになったり。でも、自分で体験してみるのは楽しいものです!

一通りの体験した後は、数々の衣装のご紹介。お写真も撮らせていただいたのでたくさんご紹介したいのですが、本当はご自身の目で本物を確かめていただきたい。冒頭でご紹介したSONYのドキュメンタリーでも分かりますが、本物は写真の映りが違います。とある写真館の方もおっしゃってましたが、現代のお手頃な着物よりも昔の着物の方が写真映りが良いそうです。生地や染が違うんだろうとおっしゃっていました。確かに今回古い衣装も拝見させていただきましたが、時代を経た装束が最も心をときめかせてくれる色でした!

上左は「縫箔(ぬいはく)」と言って刺繍と金箔が押してあります。上右は格子と朱が市松模様になっており、手がかかるため現代では制作もかなり難しいとの事。色々な衣装を見比べ、お話を伺って初めて理解する部分が多々ありました。
下左は SONYのドキュメンタリー動画で使われた衣装ですが、上半分に金箔が押してあります。金箔屋さんもビビルくらいの金箔を使用されたようで、ちょっとした裏話も伺う事ができました。また、着装の体験もさせていただきズッシリと重みを感じ歩く事さえ制限がある事を体感できました。

最後に少し真面目なお話。
佐野先生がおっしゃるには、能では幅広く動ける人は調整できる。例えば、たくさん前に動ける人は、それより少し控える様指導する事はできる。一方で、少ししか前に動かない人を更に前に動かす事は非常に難しいと。
前に後ろに横に斜めに!とにかく 失敗を恐れずに動いてみよう!その後、調整すればいいのか!と勝手な解釈をしたワークショップでした。

書いた人

MAO
日本文化大好きリケジョ。
武家茶道上田宗箇流、仕覆制作、飾り紐、組紐などの手習いや自宅のベランダで茶花を育てる。
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