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能からのメッセージ「葵上」(あおいのうえ)

能からのメッセージ「葵上」(あおいのうえ)

2020年自粛の期間、宝生流シテ方 佐野登師が能の演目の解説を日々発信してこられました。「能」が発信するメッセージを少しでもお伝えできればとコラムにさせていただきました。


五種類の演目

能の演目は五種類のジャンルに分けられています。その「神」「男」「女」「狂」「鬼」の五種類の演目の前後に「翁」と祝言能を組み合わせて演じるのが、本来の一日の番組です。
神様の話。源平の合戦劇の様に修羅道に落ちる死後の話。夢の話。現実に起きる極限状態の人間ドラマ。怨み、執心を訴える幽霊の話。

この五番立にはこんな意味を感じます。先ずは信じる心はありますか?では次に死後の世界の話をします。そこまでわかる人に夢の話を伝えます。ここでやっと現実の話が伝えられます。ここまでわかった人に、恨む事、根に持つ事の本当の話しができます。能とは人が人としてまともに生きるためのバイブルです。

葵上

この写真は佐野登師が演じた能「葵上」(あおいのうえ)です。源氏物語の六条御息所(みやすどころ)、葵上、光源氏の三角関係の話です。葵上に取り憑く六条御息所の生霊が祈り伏せられやがて成仏します。

※葵上:光源氏の正妻で左大臣の娘
 六条御息所:光源氏の愛人で元皇太子妃

メッセージ

恨みたくて人を恨む人はいないのですね。舞台の中でも、六条御息所の生霊は、この様な己の姿が恥ずかしいと登場して来ます。

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JCbase編集者コラム
冒頭の五種類の演目の説明では、神→死後→幻→現実と場面が変わり、最終的に「恨み」など演目のメッセージについて考える様に組み立てられていると解釈しました。今回の「葵上」の解説はわずかですが、切り取られた場面から自分で自分を顧みるようにと言われているような気がしてなりません。

ご紹介

能楽師・佐野登師は、能楽師として第一線で活躍する一方で、能を使った教育や地域活性化の取り組みを精力的に展開されています。小山龍介氏との対談『佐野登の能からのインスピレーション』でも興味深いメッセージを発信されています。

佐野 登(さの のぼる)
能楽師シテ方(宝生流)
一般社団法人 日本能楽謡隊協会 代表理事
重要無形文化財総合指定(能楽)保持者。(社)日本能楽会及び(社)能楽協会会員。
https://www.facebook.com/nohgaku/

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