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能からのメッセージ「阿漕」(あこぎ)

能からのメッセージ「阿漕」(あこぎ)

2020年自粛の期間、宝生流シテ方 佐野登師が能の演目の解説を日々発信してこられました。「能」が発信するメッセージを少しでもお伝えできればとコラムにさせていただきました。


「アコギな商売」

「アコギな商売」という言い回しを、聞いた事のある方は多いと思います。際限なくむさぼり、あつかましく無慈悲な商売をする様を表す言葉です。この言葉は、能「阿漕」(あこぎ)などの話から派生した言葉です。

能「阿漕」は、阿漕ヶ浦(現在の三重県津市阿漕町あたり)を訪ねた旅人と漁師が出会い、この浦で密漁を続け海に沈められた阿漕という漁師が、地獄で苦しめられている、後を弔ってほしい、と訴えかけられるところから始まります。その阿漕の亡霊こそが自分であるとほのめかし消えた後、旅人が弔っていると、阿漕の亡霊が現れ、密漁の様、地獄の苦しみを見せ、助けてくれと声を上げて海に消えて行くお話です。

メッセージ

度重なる密漁をした事だけが「アコギな商売」の語源になっています。この能の根底には”してはいけない事”であっても”しなくてはいけない事情”や、”してはいけない事”こそ楽しい事、と伝えながらいろいろな問いかけをしています。

演じる側も数々の見せ場があり、難しい演目でした。

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ご紹介

能楽師・佐野登師は、能楽師として第一線で活躍する一方で、能を使った教育や地域活性化の取り組みを精力的に展開されています。小山龍介氏との対談『佐野登の能からのインスピレーション』でも興味深いメッセージを発信されています。

佐野 登(さの のぼる)
能楽師シテ方(宝生流)
一般社団法人 日本能楽謡隊協会 代表理事
重要無形文化財総合指定(能楽)保持者。(社)日本能楽会及び(社)能楽協会会員。
https://www.facebook.com/nohgaku/

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