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歌舞伎の味わいどころは粋と意気?

歌舞伎の味わいどころは粋と意気?

皆さんイヤホンガイドをご存知でしょうか?
ひとことでいうと、美術館とかで借りられる音声ガイドの歌舞伎・文楽版ですか。片耳で音声解説を聞きながら楽しむことができる便利なあれです。そのイヤホンガイドを運営している(株)イヤホンガイドの藤森茂穂さんを講師にお招きして、舞台裏を間近に知る目線ならではの歌舞伎の楽しみ方を教えていただきましたよ。

さてさて、歌舞伎。皆さん、興味、ありますよね?
「いつかは観てみたいんだよね~」と言いながらウン年、経ってませんか?ちなみに、私は初めて歌舞伎座に足を運んだつい最近です。確かに、敷居高く感じますよね。チケットもお安くないですし・・・。でも現代演劇も含めてライブってそういうものですよね。敷居に感じる一つはやっぱりわかりにくさだと思うんです。それを、少しずつ紐解くようなお話をしていただきました。

歌舞伎の発祥は出雲阿国(いずものおくに)というお話は有名ですよね。文化は歴史なので、やっぱり「歴史」少しはわかっておきたい。というか、阿国さんどんな人だったんでしょうね?タイムスリップできるならお会いしてみたいものです。その阿国さんから始まったかぶき踊りも、やがて変遷し遊女屋で大流行。遊女歌舞伎が生まれます。歌舞姫とか歌舞妓といったらしいですね。いつの時代もセクシーのパワーはすごいです。流行しすぎて風紀の乱れけしからん!ということで幕府が禁止しちゃいます。女性だけじゃなく、男の若衆の役者が演じる若衆歌舞伎も流行ります。こっちもある意味セクシーですが、こっちも禁止になっちゃいましたと。

そんな時代を経ながら、1600年代の後半には江戸時代も安定期に入り、現代の歌舞伎に近い舞台演劇と呼べるものになっていったようです。初代市川團十郎や上方の初代坂田藤十郎もこの頃登場します。そんな時代のなかでも、常に若者パワーと大衆のエネルギーを取り込みながら伝統と革新を続けてきたのが歌舞伎なんですね。そんな歴史の話にも触れつつ、「さあ歌舞伎座へ!」というお話に移っていきます。

さあ歌舞伎座へ!

まずはチラシの読み取り方です。ちょっとしたところにも味わいどころが詰まってます。
今回の講座は歌舞伎座観覧のプレイベントの位置づけで、本番は11月の「吉例顔見世大歌舞伎」です。この「顔見世」という講演名は、元々は役者が芝居小屋と年間契約をしていた時代の名残だそうで、1年ごとに契約するプロ野球選手のようなイメージだそうです。ちなみに現在はそういう契約はないそうです。

つぎ、写真、アイキャッチ。チラシで一番目に付くところです。
これは本当に日本っぽい?ですが、役者が映っている高低・左右の違い、気にしましょう。いわゆる序列というやつですね。主役級の役者でもほんのちょっと高さが違っていたりします。
あと、面白いのはゲン担ぎで、「タイトルは奇数が多い」「千秋楽は当て字の千穐楽」とか。なるほどー!今まで気にしていませんでしたすみません。

それからやっぱり上演される演目のことを知らないと!基本は以下の3つを押えましょう!江戸時代を起点に時代物、世話物、舞踊というのが基本構成。3つまとめて楽しむのがベーシックですが、1つだけ楽しむのももちろんあり!一幕見席というものが用意されています。予約ができず当日券のみ、歌舞伎座最上段の4階席のみ立ち見を入れても150名定員と色々注意点はありますが、お手頃価格で興味のある演目だけ見れるのはお勧めです。実は私も未体験ですが、同じ演目でも役者違いで比較してみたいと思っていて、今度幕見デビューを目論んでいます。

  • 時代物:当時の時代劇(武士の時代)
  • 世話物:当時の現代劇(庶民の時代)
  • 舞踊

あと、これは歌舞伎詳しい人なら常識かもしれませんが、トリビアネタを一つ。
劇場の緞帳(どんちょう)=歌舞伎では定式幕(じょうしきまく)と呼ぶそうですが、黒・橙・緑の3色の幕、色の順番が歌舞伎座と国立劇場とで違うそうなんです。ちなみに、京都南座は歌舞伎座と一緒、大阪新歌舞伎座は国立劇場と一緒だそうです。色や順番の違いにももしかしたらゲン担ぎ的な意味合いがあるかもしれませんが、興味がある方は調べてみると面白いかもしれませんね。

お芝居のみどころ!

まず、ベーシックなお話として、歌舞伎はやはり庶民の娯楽である、ということから判官びいきの演目が多いのだそうです。武士が登場する時代物にしても、平家ではなく源氏びいき。なるほど・・・

それから、時代物の内容は、歴史を知っている前提なので、事実そのもの「本編」というより周辺エピソード的なお話が多いのだとか。そして、最後は、いい瞬間で終幕となりエンドロールへ(ないけど)、あとは観客のご想像にお任せのパターン。歴史知ってる前提なところは楽しむうえでのハードルですが、そこはやっぱり「イヤホンガイド」フル活用しちゃいましょう!でも、背景がわかってるとより楽しめるんでしょうねぇ。

あと、これも歌舞伎よく見てる人には常識なれど、私など初心者はそうだったのか的お話。歌舞伎はお芝居の最中に「口上」がある。よく相撲なんかでも横綱昇進の際に決意表面したりするあれ。あれも口上ですね。落語でもあります。歌舞伎はこれが舞台上で劇の最中に突然始まるとか・・・どんなものか興味深いです。海外の演劇では絶対に無いそうなので。

口上って、要は役者都合、市川○○、中村○○、etc,,,の役者のお家都合で、「誰々がこの度○○を襲名し~」ということなんですが、そういう役者や役者のお家の事情や変遷・歴史も込みで楽しんでしまうというのも歌舞伎ならでは、ってことなんですね。

わかりやすいのは、親子の役を実際の親子が演じる。そして、以前子役だった役者が数十年後に親になり、自分の子供と共演する。そういった成長の姿をファンも楽しんでいるんです。そういう意味では、今回の演目である連獅子などは、動きで円熟味や若々しさが表現されるとてもわかりやすい演目ですね。海外の人にも人気というのはうなづけます。

年明けにも連獅子(次は猿之助さん)がかかるそうなので、幕見で比較デビューしてみますかな!本番の歌舞伎座観劇ツアーも楽しみになってきました!

書いた人

Yuさん
数学の苦手な理系。
普通の人目線で、日本文化の奥深さやエッセンスを伝える。
Omotesenker、着物で銀ぶら、観る将。
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