文化財・社寺修復を手掛ける塗師の旅がらすによるコラム長期連載です。シリーズタイトルは「旅がらすの日曜日 ~社寺修復塗師の街並み散策日誌~」。様々な季節、日本各地の街並みを探訪、古の遺構にも目を向け、社寺修復塗師ならではの視点で綴っていきます。肩の力を抜いてお楽しみいただければ幸いです。
愛知県新城市、四谷の千枚田へ。鞍掛山中腹から湧き出る清水は、大雨が降っても濁ることがなく、涸れることなくこの棚田を潤し続けてきました。
かつて、長梅雨と台風の影響で山崩れが起き、沢沿いの棚田はすべて崩壊してしまいました。五年の歳月をかけ、転石を積み上げ、再興したのが、この頑強な石積みの棚田です。
先人達が努力で繋いだ貴重な財産を、地元の農家の方達が今も守り続けています。あと半月もすれば、黄金色の稲穂がたわわに実りそうです。
棚田