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飯台の懐石 ~食への感謝~

飯台の懐石 ~食への感謝~

飯台を使った懐石ってどういう感じなのかな?好奇心を裏切らないワクワクの体験をしてきました。
2020年6月21日に、世界茶会を主催される岡田宗凱(そうがい)氏が富山の懐石料理人  中尾英力氏をお招きして行った懐石秘密箱に参加してきましたのでご紹介させていただきます。

まず「飯台」は「はんだい」と読みます。禅宗の僧侶が食事に使う台を茶道の懐石に取り入れたものです。形状は握り鮨をのせる台「寿司下駄」がテーブルサーズに大きくなったような感じですが、一人分もあれば数人分用の4寸や5寸の物もあるそうです。食事は飯椀、汁椀のその二椀の蓋で行っていきます。
「飯台」の作法は茶道の聖書ともいわれる「南方録」にも記載されており、今回は椀が一つに重ねられて藍染の木綿の袱紗に包まれている作法です。ロシアのマトリオシカの人形ように見事に重なります!

袱紗からお椀を取り出したら、左から飯椀、汁椀、蓋の順にならべ、お給仕をしていただきます。その際、お椀をお渡しする前、お椀をいただいた後に合掌をします。ご飯やお汁以外もお給仕いただく毎に合掌をする訳ですが、この動作が食物、動物、自然、人などあらゆる事に感謝をする気持ちを呼び起こしてくれます。とても清らかな気持ちになったようで、このような食事の作法もよいものだと感じました。せめて今日は清らかな気持ちで過ごそうと…。
合掌の雰囲気は「懐石秘密箱」の中尾英力氏のインスタグラムをご覧ください。

少し分かりづらいですが、ご飯は円柱上になってます。みなさんにご飯とお汁が行き渡るまで待ってるので、冷めているかな?と思っていましたが、しっかり固めてあるため意外にも内側はあたたかくいただくことができます。今回は茶懐石ということで、お向、煮物椀、八寸もいただきました。精進料理ですので肉やお魚などはありませんが、十分満足な懐石料理でした。食事の終了後には、器を少しの水で洗い清め、木綿で拭いてまた袱紗へ包み元の状態に戻します。清めた水は桶に回収されてお庭に撒かれ自然に帰っていきます。

余談ですが、風呂敷に椀を仕舞う動作はNHKの朝ドラでおしんが奉公先で茶碗を箱膳に仕舞うシーンを思い出しました。また、禅宗のお寺では現在も各自の椀を袱紗で包み仕舞うと友人から伺いました。普段の生活とは違いますが、食事の準備と片付けに手間をかけない合理的な方法です。しかしながら、いただく際は感謝の思いを込める時間をとる。何か大切なのか考えさせられますね。

今回は、懐石料理の前に中尾英力氏に、飯台をベースとした丁寧な食事の作法のお話も伺い、今まで体験した事が繋がる貴重な経験となりました。このような事を体験することは珍しいのかもしれないと思いご紹介させていただきました。

岡田宗凱氏と一緒にちゃっかりお写真も!

世界茶会を主催される岡田宗凱氏は、茶懐石以外にもさまざまな学びの場をご提供されています。直近では6/27(土)14時より、JCbaseで江戸絵画のご講演をいただいている景山由美子氏とのコラボレーション企画もあります。よろしければご参加くださいませ。

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