文化財・社寺修復を手掛ける塗師の旅がらすによるコラム長期連載です。シリーズタイトルは「旅がらすの日曜日 ~社寺修復塗師の街並み散策日誌~」。様々な季節、日本各地の街並みを探訪、古の遺構にも目を向け、社寺修復塗師ならではの視点で綴っていきます。肩の力を抜いてお楽しみいただければ幸いです。
愛知県最後の晩餐にと、プール仲間の飲み友達K君が、知り合いの名古屋コーチン生産者が営む宿へ連れて行ってくれた。その宿は豊田市山間部の稲武(いなぶ)という町をさらに奥深く入った山中にひっそりと佇んでいた。すぐ先は長野と岐阜との三県境である。
高原コーチン
朝引きの新鮮コーチンをいただく。網焼きにひきずり(すき焼き)、たたきや採れたてトマトなどはサービスで出てくる。社長も交え、旨い酒と格別な鶏に炭火を囲みながら、少し肌寒い山の夜は更けていく。
朝起きて外を見る。見渡す限り山。澄んだ空気に癒される。猫好きな人は、人懐こい七匹の猫にまた癒される。朝食はコーチンの卵にコーチンのソーセージ。外へ散策に出ると、パラグライダーやダートのトライアルコースもある。社長と漆畑の話などもして収穫のあった一晩。
これ以上ない最高の晩餐。ここから、稲武の蓬莱泉吟醸工房そして古い街並み足助へと向かう。